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舞台装置としての店舗づくり(きものサロン花村)

 福岡でも有名な通り、渡辺通り。その名前の由来となっている渡辺与八郎氏は、『紙与』という九州でも一番大きな呉服店を営んでおられました(西日本シティ銀行「博多に強くなろう」より)。その紙与から「のれん分け」でつくられたのが、『花村』のはじまりだったとか。最初の頃は、呉服ではなく、乾物屋としてスタート。これは、独立していく多くの人たちとの間に争いがおこらないようにと、さまざまな業種に分けて、のれん分けをさせていたからだそうで、その後、質屋、呉服、貸衣装へと時代に合わせて、業態も変化していったそうです。

 今回は、ひとつの事業である貸衣装の部門を閉じられることで、店舗内をどうリニューアルしようかというご相談でした。現在、『花村』は、呉服部門のほかに、スキャバルというブランドを扱うオーダーメイドの紳士服部門と、不動産部門とに分かれています。店舗で貸衣装部門が占めていた面積の割合が比較的大きく、どの部門をその位置に持っていくのかが大きな打合課題だったように思います。


イメージパース

 打合せを重ね、呉服をメインに店舗づくりを進めることになりました。日本の伝統・文化である着物なのですが、いろいろお話をしていると知らないことばかり。打合せを通じて本当に勉強になりました。お店では、展示会、着付教室、茶道教室など大小さまざまなイベントに対応できるよう可変性をもたせることになりました。あくまでも商品が主役で、店舗は舞台装置。色合いも主役の商品を引き立たせるようにあまり主張しない、自然素材のものを多用しました。プランに関しては、昔の民家のプランを参考にしました。昔の民家、田の字プランといって、田の字型に畳が配置されていて、それぞれの部屋を建具で仕切っています。祭事や集まりごとなどがあると、建具を移動して仕切り直し使っていたといいます。今回の店舗でも建具を開けたり閉めたり、または、どちらかへ移動することで、さまざまなイベントに対応する仕掛けをほどこしました。

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入り口から店舗部を見る。手前の障子と奥の障子、奥左の障子を開閉することで、可変性のある店舗を作りました。

手前が接客スペース。左手のたんすは、既存のものを使いました。障子を閉めるとコンパクトな店舗になります。

格子の奥は、事務所スペースです。お客様が来られた時に、すぐわかるように暖簾にて仕切ることになりました。

店舗側から、入り口側をみる。建具の向こう側は、不動産部門の事務所になります。呉服部門と不動産部門をきっちり分けることができました。