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『人びとのつどう家』 ~T様邸リノベーション

 昔、家には応接間とか客間とかありましたよね。いつの頃からなくなったのでしょうか?小学校の先生をされていた奥様は、人が集う家を作りたいという希望がありました。お気に入りの和室2間の客間を残して、その他の部分を改装いたしました。玄関脇にも人が集えるフリースペースを設け、地域の子供たちに読み聞かせやピアノの演奏会などを開くパブリックスペースを設け、プライベートゾーンと区分がしっかりできるようにプランしました。


※After 玄関脇のフリースペース。
屋根の勾配にあわせた高い天井に自然の光を取り入れるトップライトを設けました。
ここにグランドピアノを置き、演奏会などをされるそうです。




※After トップライトを設けたリビング。


※2間続きの和室(今回はこの部分を残す)

 最初は、ちょっとしたリフォームのご相談でした。家は、腕のよい大工さんが建てたであろうと思われ、建った当時はかなりモダンな建物であったのではないでしょうか。ただ、年数も経っていましたので、床のところどころの木が腐って抜け落ちそうになっていました。きっかけは、その部分を直すためのご相談でしたが、奥様との打合を重ねるうちにかなり大掛かりな計画になっていきました。


 ※打合せ風景。改築前のリビング。


左の写真は、改築前のダイニングの写真です。左手のキッチンの前に窓がついているのですが、倉庫が増築されており、この部屋は、採光が取れていませんでした。また、通風も遮られており、床が腐りやすい構造になっていました。過ごす時間の一番長い場所が快適でなかったことに、住み手としての最大の不満があったようです。

今回の改築のポイントは、大きく3点ありました。

  1. リビング・ダイニングの日当りをよくすること。
  2. 風通りをよくすること。
  3. 人がつどえる家にすること。

・ 既存の2間続きの和室を残す。(大勢のお客様に対応できる)
・ 1階と2階にフリースペースをもうける。(地域のコミュニティースペースとして利用する)
・ パブリックスペースとプライベートスペースを明確にし、区画をする。


2階の部屋。窓が1ヶ所しかなかったため風通しが悪かった。


小便器。今では住宅には見かけません。


本当は残したかった玄関。工事資材搬入の関係で解体することに。上框など使える部分は使いました。


今回残すことになった和室。縁側からの眺めがよく、大工さんの腕のよさがうかがえる。

 はじめてご自宅におうかがいした時、とても印象に残ったのがこの松でした。最近の住宅では、高価であることと手入れが大変であることで、松はなかなか採用されません。できれば、元の位置のままで改築を進めたかったのですが、工事の関係や駐車場を広げたいというオーナーのご希望もあり、移植することになりました。大変な作業でしたが、移植された松を見ると全体の雰囲気がぐっとしまって落ち着いた感じになりました。


改築前


改築後

松がヘイによりかかって立っていました。ヘイの解体と松の移植を同時に行いました。

ヘイの解体。

いったん畑に仮植する。


解体工事

リサイクル法ができ、解体のゴミも細かく分類しなくてはいけません。木、鉄、コンクリートなど分けてから搬出します。


解体終了

既存の和室2間を残し、きれいに解体終了する。いよいよ改築部分の工事がはじまる。


仮設住宅

仮の住まいとして、小屋を設置する。既存部分の和室2間と合わせて工事中はこちらでの生活をしていただきました。この年は猛暑で40度近く気温が上がることもありました。本当にお疲れ様でした。


2階のフリースペース

東京にいるお子様の宿泊施設としてキッチンも設けました。


1階リビング

前面に既存の住宅があるためにトップライトなどで光を取り入れるようにしています。